秋の萬古祭りのなかで、BANKO300thプロジェクトキックオフ式典が開催されました。

秋晴れの素晴らしい天候に恵まれた10月1日ばんこの里会館において、多数のご来賓をお迎えし無事に式典を行いましたこと、皆様のご支援の賜と感謝申し上げます。

当日の式典の模様はいくつか報道されましたが、10月20日号の「陶業時報」の記事を全文掲載いたします。

 

 

300周年プロジェクト始動

萬古焼創始者、沼波弄山を称え

来年、萬古焼の創始者、沼波弄山(ぬなみろうざん)の生誕300周年を迎える。

これを機に四日市萬古焼産地では、伝統と文化を伝えてきた先人の努力に感謝し、これまでに築かれた遺産を未来への資産とすることを目的とする

「BANKO300thプロジェクト」を立ち上げた。そのプロジェクトを始動させるキックオフ式典が、10月1日「第9回秋のばんこ祭り」の開催と合わせて、

四日市市陶栄町の「ばんこの里会館」で開催された。

 

「BANKO300th」は萬古陶磁器振興協同組合連合会」(藤井健司理事長)を母体とするBANKO300thプロジェクト実行委員会が主催。総合プロデューサーには「banko archive  design  museum」(四日市市京町)を主宰する陶芸家、内田鋼一氏を迎え、「ものがたり 萬古焼」「萬古焼の粋」「ふれあい」と名付けた3つのワーキンググループを中心として、さまざまな事業に取り組んでいく。

「ものがたり 萬古焼」では、地域がはぐくんだ萬古焼の魅力を伝えるために記念誌発刊事業に取り組む。

「萬古焼の粋」では、古萬古から現代、未来につながる萬古焼を紹介する魅力展示事業を展開。

「ふれあい」では、萬古焼でつながる地域(桑名市、朝日町、菰野町、四日市市)や、来訪者との交流により産業を発信し続ける。

これら3本柱の事業を通して、400年、500年へとつなげていくことを目指すとしている。

10月1日、「第9回秋のばんこ祭り」と合わせて開催されたキックオフ式典には、プロジェクトを推進する関係者らに、加え、地元の首長や議員らが応援に駆けつけた。式典冒頭で同実行委員会の山本哲也実行委員長が、挨拶し、「過去の300年の先輩が築き上げてきた歴史に改めて敬意を表し、この一年を節目として、次の世代にきっちりとつなげていく意義を改めて感じている。これら3本柱の事業を来年一年、一生懸命に進めてまいりたい」と、意欲を述べ、協力を求めた。総合プロデューサーの内田鋼一氏は「萬古焼の良さを発信するとともに、地元の人たちにはその良さを再認識していただき、次の世代につないでいくためのお手伝いができればと考えている。」と挨拶した。萬古業界の顧問である岡田克也衆議院議員は「全国的にみると萬古焼の知名度がたりていない。この300周年を萬古焼の知名度を高めるための良いきっかけとしてほしい」と語った。鈴木英敬知事は「三重県の観光は全国と比較すると連泊率が低く、地域でお金を使ってもらうチャンスが少ない。連泊してもらうためには、地域ならではの体験メニューが必要。観光産業もやっていくというこのプロジェクトをしっかりと応援していきたい」と述べた。このほか森智宏四日市市長、石原正敬菰野町長、栗田康昭朝日町長らも祝辞を寄せた。最後は萬古陶磁器振興協同組合連合会の藤井理事長の言葉で締めくくった。

 

 

▼沼波弄山  古萬古やきの創始者。1718年(享保3年)に、桑名の豪商に生まれ、幼少時から風流を愛し、茶道を学んだ。桑名の廷内に窯を設け、楽焼き風の軟陶を焼いていたが、元文年間(1736~41)に許可を得て別宅のあった三重県朝日町小向に築窯。宝暦年間(1751~1764)には江戸の別邸のあった向島小梅にも築窯した。同氏が作品に「萬古」「萬古不易」と記していたことから萬古焼と呼ばれるようになった。