2020年4月28日に審査が行われた萬古陶磁器コンペ2020の結果を発表致します。
募集テーマ:注器
審査員
内田鋼一 陶芸家(審査員長)
長井千春 愛知県立芸術大学教授
水谷 満 萬古陶磁器コンペ実行委員長
総評
例年よりも全体的には出展作品のクオリティが上がっていたと思われる。しかし、もう一段階レベルが上がると、とても見応えあるコンペになると思いました。デザイン的にどこかで見覚えのあるものや、技術的に少々足りず、キズがあったりと不備が目についた。細部まで見ていくと残念な部分も多々あったので、その辺りを踏まえ制作されると、どれも受賞候補になりえる作品が多かったと思いました。 【内田鋼一】
入賞作品
<グランプリ>
「舞」
岸田 怜 (長野県)
3種(点)出品において、内2点が賞の候補にノミネートされていた。成形、装飾、絵付けと全てにおいて完成度が高く、審査員一同一致でグランプリとなった。 【内田鋼一】
<優秀賞>
「白磁窯変注器セット」
松本 治幸(滋賀県)
成形、焼成、共に攻めのエネルギーを感じた。デザインや使うという目的以外に物づくりとしての挑戦する姿勢を高く評価した。【内田鋼一】
「和紙染めポット」
一ツ松 綾乃 (愛知県)
同作品は、小さな丸い和紙を濡らし、ポットの素焼きボディーに丁寧に重ねながら貼り、そこに顔料を染み込ませて模様を施すという伝統的な加飾量産技法を生かしている。温かで独自の洗練された雰囲気を醸し出すことに、この加飾法は成功している。作家は、この他に1点提出しているが、この作品の方がボディーのフォルムと模様の融和性が高い。もう少しフォルムの研究を重ねれば、更に作品の質は高まると思われる。 【長井千春】
「銀彩茶壺 2種」
伊藤 成二 (愛知県)
銀彩茶壺2種は、優れた技術に裏打ちされた安定感のある茶器というだけでなく、ハンドルやフタ、ボディーの何気ない加飾に至るまで、神経が行き届いた作品である。ボディーの土色と銀の配色が、今の空気を自然と伝えている。 【長井千春】
<BANKO300th特別賞>
「彩色透かし型萬古『月花白桜』」
久保田 学(三重県)
萬古焼の伝統的技術を屈指し、ただ、技術的な所だけでなく、情緒的な思いを表現しようとしていた所が、とても印象に残り評価された。 【内田鋼一】
<審査員特別賞>
「Banko revival pot おまつりのぞう」
白木 千華 (三重県)
この作品は、手の平に載せる小さな宝物のような茶器である。萬古独自の技法を生かし、ぞう形のボディーに貼られた色とりどりの加飾は、とてもチャーミングで手に取る人の心をときめかせる魅力を持っている。ぞうの耳元が少しキレているのを放置しているのが残念である。 【長井千春】
「金彩トルコ黒釉急須」
丹下 悦子(愛知県)
ブルーの色と金の使い方が、きれいな急須でした。丁寧に作られているのに、蓋のタナがしっかり閉まると、もっと良いかと思いました。 【水谷 満】
<U40特別賞>
「カーネリアン」
向井 真璃子(岐阜県)
どことなく小さくてかわいいポッテリとしたデザインで、女性らしいカタチの注器でした 。シンプルなカタチが目に留まりました。 【水谷 満】
入選作品