沼波弄山翁生誕300年 企画展「萬古焼の粋ー陶祖 沼波弄山から現在、未来に繋がる萬古焼ー」
統合プロデューサー:内田鋼一氏
萬古焼は「『萬古』の印が押してあることが一番の特徴」と言 われるほど、実に様々なやきものを作ってきた産地ですが、プ ロデューサーの内田氏は萬古焼の多様性の中にも江戸中期 の開窯から現在に至るまで一貫しているものとして「粋」という キーワードを見出しました。
「土に恵まれた環境でなかったから こそ、新しい技術を磨き、海外に販路を開拓し、創意工夫を 凝らして、その時代時代の人々のニーズ、何が粋であるかを 敏感に察知し形づくってきた産地」と。
そのキーワードをもとに、各地で個人や企業が所有する萬 古焼製品をお借りしてきて、9 月 29 日、企画展「萬古焼の粋 -陶祖 沼波弄山から現在、未来に繋がる萬古焼-」をスタ ートさせました。
展示物約 400 点は、沼波弄山の異国情緒あふれる古萬 古から、その志を継いだ森有節・千秋兄弟の工夫を凝らした 型萬古や鮮やかな腥臙脂釉、輸出用のユーモラスな土瓶や ノベルティ、戦時中の統制陶器や代用陶器、卵の殻ほどに 軽い手捻りの茶器や近代の工業用製品や炊飯器用の土鍋など、ボリュームだけでなく萬古焼のバラエテ ィの豊かさ、技術力の高さを感じていただける内容になっております。
ご来場いただいた方々には展示内 容はもちろん、展示 の手法についてもご 好評いただいており ます。
今回の企画展に合わせ、ばんこの里会館も大幅にリニュ ーアルしました。
内田氏の構想のもと、 三重県出身の全国で活躍する建築家 グループ「ミエケン ジンカイ」が設計を担当。
中勢森林組合のご協力により、館内各所にふんだんに使われた県産の木材 は、展示を落ち着いてご覧いただける環境を作り出しています。
また使用された木材は、展示後に萬古焼メーカーで桟板として再 利用される予定です。
展示会場内も展示品を並べるだけでなく、 ご覧いただいている方々と当時の作り手、そして現在の作り手を 結ぶような趣向が各所に凝らされています。
企画展全体を通して、きっと新たな萬古焼の魅力を感じていただけるのではないかと思っています。